日本ではもちろん、海外でも人気の高いキングコング(スリーポイントタイプ)だけを選別して飼育する例。
着眼点によって既存のシャドーでも新しい目標が生まれるはずだ。
レッドビーシュリンプの歴史からすれば、まだまだ始まったばかりのシャドーグループだが追求できる要素はかなり奥深いといえる。
使用ソイル:Original ブリーダーズソイル(パウダー)



 
<有茎草をメインとしたADAの”侘び草 有茎草MIX”を使用>

 
<いろいろな草が密生しているので微生物もよく発生し、繁殖にも最適>


<センセーショナルなデビュー>

 え?台湾? パンダ、シャドー・・・なにそれ?噂は現実に、その日がやってきた。
明らかにビーシュリンプとは違う輝きを放つ漆黒のボディに一同、唖然となったのがブラックシャドーの初入荷である。
 個体ごとの表現の違いも様々でどのような掛け合わせで出現したのか気になるところだ。
パンダというタイプは見慣れたビーシュリンプとほぼ同様。

センターバンドが台形に広がる個体が多いな・・・というくらいの識別であったが、キングコングタイプの衝撃は今でも忘れない。
「直線的な模様の区切りがビーシュリンプでは不可能な表現だ!」あれから時間も経ち、多少驚きの記憶は薄らいだ感もあるが(爆)。
 今から思うと当時のキングコングの模様はかなりのばらつきがあったのではないだろうか。
 ブラックボディに入るホワイトポイントは統一性なく個体によってまちまちで、今では背中にワンポイントが入る個体が多い中、当時では“断層ズレ”をおこしたように見えるホワイトポイントが印象的な個体も多く見かけたのを覚えている。
あれから交配も進み、表現のパターンはいい意味で整理されてきたといえるかもしれない。
逆にその当時の“危なっかしい模様”は今となっては貴重で、独自の模様を目指した血統に注目され、交配を続けて出現比率を上げるなども、せっかくのシャドーシュリンプを楽しむ上で有効な方向性だといえるかもしれない。

パンダとキングコングタイプは現在、ほぼ同じ流通価格となっているが、デビュー当時ではキングコングタイプがパンダタイプの倍額・・・なんてケースも珍しくなかったのである。

 キングコングタイプは名前の由来!?どおりの着眼点としてシルバーバックに形容される背部のホワイトポイントがアイデンティティと考えている。
また、キングコングタイプやパンダ、フルブラックといった典型的なパターンに当てはまらない個体は“ブラックシャドー”としてひっくるめるのが、現在のところ一番有効な整理方法ではないかと考えているが、いかがだろうか。

 あのころに気合を入れて購入された方々の緊張感は、いまから始められる方の比ではなかっただろう。最近では価格もこなれてきた結果、いろいろな方向からシャドーシュリンプと向き合う準備が整ったといえそうだ。

<ブラックダイヤモンドとシャドーシュリンプ、ドイツ産 VS 台湾産>

 これはブラックダイヤの一種ではないのか?雑種だから価値がない?などなど、当時いろいろな話があがったものである。
しかしこのインパクトは人気種となる要素を持っているのは容易にわかり、すぐさま噂が広まった。
 ブラックシャドーが紹介された当時、話題の中心はブラックダイヤモンド金目!それ以前に日本に紹介され、一世を風靡したゴールデンアイダークブルーのロマンはより希少なソリッドブラックを呈するブラックダイヤモンドにさらわれていた時期と、シャドーのデビューがほぼ同じタイミングとなった。
 話がずれるが、ブラックダイヤモンドを例としてタイガー系シュリンプの当時の人気を振り返ってみよう。
 2008年から09年には日本市場にまだ馴染みの薄いドイツ産の衝撃的なエビをどのように飼育・繁殖させてゆくかがタイガー系に嗜好を持ったブリーダーとシュリンプファンの課題であり、元来のビーシュリンプファンにとっては「浮気者」のような印象...とタイガー系シュリンプに対する温度差があった。それでもファンは着実に増え、水質調整やタイプの違いに話が弾んでいたものである。
ただしビーシュリンプの先入観からか、タイガー系が好むとされる、ドイツ本国と同じような環境を作るための水質調整は困難を極め、ゴールデンアイやブラックダイヤモンドにチャレンジし、苦汁を飲まされたシュリンプファンも多かったはずである。
計りやすいphや導電率の数値はどれだけ同じにしたとて、さまざまな水の中に溶け込む栄養素のバランスは真似ることが困難で、飼育することだけでも不安が消えることがなかったのを覚えている。
現在では日本の飼育水と各ブリーダー独自の飼育スタイルに馴染んだ個体が、本国から提供される個体より飼育しやすいタイガー系シュリンプとして多く出回るようになった。

 話を戻して、そんな中、ブラックシャドーがやってきたのであった。
当時、高嶺の花の筆頭であったブラックダイヤモンドは先見の明を持つシュリンプブリーダーのターゲットであったが、シャドーシュリンプの人気と相場がそれを追い抜く勢いで加速してきたのを覚えている。
 案の定、天秤にかけられるような話が店頭で多くなるに時間はかからなかった。
水質的にはタイガー系シュリンプのそれとは違い、やりなれたビーシュリンプに近い環境で飼育、繁殖を狙うことができるそう。という情報も人気に拍車をかけた。
ただし、シャドーのブリーディングも一筋縄に行かず、今となっては当然のシャドーに対する認識や生命的に不安定で虚弱な品種をいかにフォローして繁殖させるのか、などの考え方が当時、不特定かつ山積みであった。
それでもブラックダイヤよりましだ・・・そんな声も上がっていた。
 2011年現在、シャドーロードはまだまだ続いている。昨年からはアジアでも流行してきて追及するスリルは倍増だ!

<キングコングのポイント>

 前述のとおり、シャドー人気を語る上でのベースとなるのがやはりキングコングタイプであるだろう。
ビーシュリンプ、タイガーシュリンプでは成し得ない独特の表現が最大のポイントだといえそうだ。
表現は千差万別で柄の固定は困難を極めるはずだが、好みの柄の比率をあげてゆくことがこれからの目標と考えている。
じっくりと好みの柄の比率をあげる取り組み、選別、交配はブラックシャドーの認知が高まった今からでも、取り組むべき課題ではないだろうか。
当方の現段階としては一つの目安として頭部、腰部(背中)、尾先の3ポイントホワイトを基準に左右どちらから見てもホワイトが均等に乗る(頭部と腰部)個体を選別の基準として推薦している次第である。
意外と左右均等な個体はこういった着眼点を持って確認すると、少ないことに気づかれる方もおられるのではないだろうか。
それとは別に腹巻き状の太バンドの個体やジグザグ模様を狙えそうな個体も人気を得るに有効だと考えている。
飼育している個体をじっくり観察して、趣旨がはたらく表現を追求していただきたい。
またビーシュリンプ同様、脚部まで色が乗った個体は全体の完成度をさらに高めてくれるのはいうまでもないだろう。

<ウルトラC>

 最近ではシャドーシュリンプの認知も深まり、さらなる追求に向けて、難易度の高い表現に取り組むのも先導的になってくるはずである。いざ、挑戦者求む!
たとえば「キングコング白脚」。
たとえば「キングコングフルホワイトテール」。
パンダでは比較的容易とされる方向性をキングコングパターンで出現率を向上させるとなると、一気に困難となる表現もある。
このような個体を作出するにあたっては、フルブラックの形質(ソリッド遺伝子タイガー系)とビーシュリンプ表現との優劣を考えなければならない。
ここから先はまた別の項目でお伝えしてゆこう。
 あとは実際に上記のような難易度の高い個体が流通してくるようになった場合に市場がそれを理解してくれるかが最大の山場となることだろう。努力が報われるかどうか・・・
要所要所で魅力的な表現を持つシャドーシュリンプが登場した場合、随時取り上げてゆきたいと思う次第である。



<群れる ‐BlackShadow KingKong-

 キングコングと称されるパターンの中でも
さらにこだわってセレクトした個体たちによる、統一感のある光景は見ものである。
背中の部分と頭の部分に入る、白のパターンでシャドーの印象は大きくかわるものだ。
写真のようなパターンをもつキングコングがベンチマーク的な存在になってゆくと思われる。



<キングコングに対しての探究心>

 稚エビの段階からキングコングタイプのインパクトは、パンダやフルブラックよりも印象的である。
ブリーディングに成功し、同じ水槽に大小様々な個体が入り混じる光景を見ることができれば苦労も一入。
1.5cmを超えるあたりから一気に迫力が増し、体型にも変化が現れるようになる。
漆黒のボディも一段と眼に飛び込むようになり、さらに愛着が湧くだろう。